人医学領域では椎間板ヘルニアの治療として脊椎内視鏡を用いた内視鏡下椎間板摘出術(MED法)が行われており、メリットとして皮膚切開と軟部組織の損傷が小さく、術後の痛みが軽く退院日数が短縮すると言われているが、獣医学領域では椎間板ヘルニアの手術方法は片側椎弓切除術や造窓術などが一般的で脊椎内視鏡下手術の報告は少ない。
今回我々は、椎間板ヘルニア症例2頭において、小動物脊椎内視鏡(Easy GO Ⅱ)を用いてMED法を行ったのでその概要を報告する。
症例①は雑種猫、体重8.1kg、10歳2ヶ月、去勢雄。
術前のグレードは3(両後肢不全麻痺、自力歩行可能、排尿障害なし)。MRIにてL5-L6間に右腹側からの脊髄圧迫が認められた。
症例②は体重4.4kg、14歳9ヶ月、去勢雄のミニチュアダックスフンド。
術前のグレードは5(両後肢完全麻痺、排尿障害あり、深部痛覚なし)。MRIにてL1-L2間に右腹側からの脊髄圧迫が認められた。
症例①は伏臥位、症例②は側臥位に固定し、病変部位をCアームX線装置で確認した。
病変部位の関節突起の腹側を皮膚切開し、筋膜を切開した後ダイレーションスリーブを用いて関節突起と副突起の間の筋肉を剥離した。
その後ダイレーションスリーブの上からチューブリトラクター(19mm)を挿入しフレキシブルアームに固定した。
脊椎内視鏡下で副突起周辺の骨を露出し、ラウントバーを用いて副突起を含む骨を除去し椎間板物質を摘出した。
摘出後は常法に従い縫合した。
症例①は疼痛もなくなり、後肢の不全麻痺も改善した。
症例②は自力歩行可能となったが不全麻痺が残っている。
手術時間は症例①で176分、症例②で129分であった。
今回の2症例ともに術後に運動機能が改善され、獣医学領域でも内視鏡下での椎間板物質の摘出は十分に可能であると考えられた。
脊椎内視鏡下でランドマーク(関節突起・副突起)が確認できれば、肉眼よりも鮮明に椎骨の切削が行える。
また、筋膜や筋肉の切開は一般的な椎間板ヘルニア手術と異なり、筒状のチューブリトラクターで押し広げるので、周囲組織が圧迫され出血も少なく、術後のサードスペースや瘢痕化も最小限に抑えることができると考えられた。
しかし、チューブリトラクターの設置が手技的に煩雑で難しいため手術時間が延長した。
今後は手術手技の向上により手術時間は短縮することが可能であり症例を重ねることにより客観的な評価を行っていくことが必要であると考えられた。
Contact
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00~12:00 通常診療 |
○ | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 12:00~16:00 予約診療・手術 |
○ | 予 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
|
16:00~19:00 通常診療 ※土日は 15:30~18:00 |
○ | 予 | ○ | 猫 | ○ | ○ | ○ | ○ |
【獣医師指名について】
AM 11:30まで
PM 18:00まで