学会発表
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先天性胆嚢欠損症の犬7例に関する調査(JCVIM 2015)

○沓内 1)、重本仁 1)、水谷真也 2)、鳥巣至道 2)、
1) 王子ペットクリニック、2)宮崎大学農学部付属動物病院

<背景と目的>

先天性胆嚢欠損症は比較的稀な奇形で、獣医学領域では犬において過去に数例し か報告されていない。本症の診断はかなり困難で、剖検時や開腹時に偶然発見されることがある。 しかし、近年の画像診断法の進歩に伴い、本症と疑診される症例が今後増加してくると考えられ る。今回、当院と宮崎大学とで腹腔鏡検査において先天性胆嚢欠損症と確定診断された 7 症例に 関してその概要を報告する。

<材料と方法>

2010 年 11 月から 2014 年 10 月の間に王子ペットクリニックあるいは宮崎大学農 学部付属動物病院を受診した症例のうち、腹腔鏡検査にて胆嚢の欠損が認められた 7 症例に関し てシグナルメント、初診時の血液検査、腹腔鏡検査所見、および肝臓の病理組織検査所見に関し て調査した。

<結果>

犬種としては、雑種が 2 例、トイ・プードル、マルチーズ、イタリアン・グレイハウンド、 ミニチュア・ダックスフンド、チワワが各 1 例であった。性別は、雄が 2 例、雌が 5 例であり、 診断時年齢の中央値は 1 歳 7 ヶ月(1 歳 2 ヶ月-11 歳)であった。臨床症状としては、嘔吐が 2 例、 食欲減退が 1 例で認められたが、無症状の症例が 5 例いた。初診時の血液検査において、全ての 症例で GOT(61-758、中央値:141)、GPT(108-2691、中央値:591)が高値を示しており、6 症例で ALP(189-1159、中央値:701)の高値が、5 症例で GGT(13-35、中央値:23)の高値が認められた。腹 腔鏡検査での肉眼所見として、3 症例で方形葉の欠損が、2 症例で内側右葉の欠損が認められた。 肝葉の腫大は 2 症例で認められ、内側左葉、外側右葉、尾状葉が腫大していた。肝葉辺縁の鈍化 は 4 症例で認められ、外側左葉の鈍化が 2 症例で、外側右葉の鈍化と内側右葉の鈍化がそれぞれ 1 症例で認められた。2 症例において、胆嚢管の膨らみが観察された。肝臓の病理組織検査では、 3 症例で胆管の増生が認められ、2 症例で肝小葉の萎縮が、2 症例で門脈の狭小化が認められた。

<考察>

今回の調査では、全ての症例が持続的な肝酵素の上昇から偶発的に先天性胆嚢欠損症と 診断された。先天性胆嚢欠損症の診断には CT 検査あるいは腹腔鏡検査が必要であるが、これらの 検査は麻酔が必須であるため、確定診断に至るのは難しい。多くの症例は無症状であり、肝葉欠 損の程度や胆管増生の程度との関連は認められなかった。一部の症例では胆管の増生が認められ、 それに伴い門脈の狭小化が生じたと考えられる。先天性胆嚢欠損症の症例では、門脈高血圧に注 意して管理していくことが必要だと考えられる。

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