整形外科
整形外科(関節鏡、TPLO、LCP)
整形外科専門医が手術します。
前十字靭帯断裂
前十字靭帯は、膝の関節にある重要な靭帯の1つです。下の図のように膝の関節は大腿骨と脛骨で構成されています。
前十字靭帯は3つの役割を担っていると言われています。
①脛骨が前に出るのを防ぐ
②膝が過伸展(伸びすぎる事)を防ぐ
③脛骨が内旋(内側に回転する事)を防ぐ
他の靭帯でも②・③の役割は補う事が出来るのですが、
①の脛骨が前に出るのを防ぐ役割は前十字靭帯のみが担っています。
そのため、前十字靭帯が断裂してしまうと脛骨が前に出てしまい、関節が安定せず関節炎の原因になったり痛みが出てしまいます。
ではなぜ前十字靭帯は断裂してしまうのでしょうか?
それはわんちゃんの脛骨の形に特徴があるからだと言われています。
わんちゃんの脛骨は正常でも下のレントゲンのように斜めに傾いています。
このため上から力がかかると脛骨が前に出る力が発生します。イメージとしては三角形の積み木を上から押すと前に出るのと同じです。
この力に前十字靭帯が耐えきれなくなると断裂してしまうのです。
断裂してしまったら手術をしてあげないと改善しない子が多いです。
断裂してしまった子は下のレントゲンのように脛骨が前方に変位し、関節炎が進み骨が滑らかでなくなってしまいます。
手術は様々な方法がありますが、当院ではTPLO(脛骨高平部水平化骨切術)を実施しております。
TPLOは前十字靭帯断裂に対する最新の手術法の1つです。
脛骨を一部骨切りし、回転させることによって斜めに傾いているところを平らにし、
脛骨が前に出る力を無くしてあげようという手術法です。
他の手術方法ではワイヤーや他の靭帯を用いて前十字靭帯の再建を試みますが、
TPLOは膝の機能の安定化を目的としている手術法です。
そのためTPLOは前十字靭帯の完全断裂だけでなく部分断裂の治療法としても有効であり、
活発に運動ができるようになるまでの期間を従来の手術法よりも短縮させ、
関節内の変化を最小限に抑えることが出来ます。
特に、長期のリハビリテーションや術後管理が困難な大型で活動的な犬の治療法として最適です。
実際に手術を行なった子のレントゲンです。斜めだった脛骨が平らになっているのが分かります。
関節鏡検査
当院では関節鏡を導入しております。
関節鏡とは胃カメラのように細い管の先にレンズとライトがついたもので、これで関節内を観察していきます。
通常の手術のように患部を大きく切開する必要がないため、負担が少なく回復が早いのが特徴です。
ギザギザになった半月板や関節軟骨、骨棘などを切除したり滑らかにすることが可能です。
下の写真のようなカメラを関節内に入れていきます。大きさは1.9mm~2.7mmと非常に小さいです。
実際の関節鏡検査の様子です。
靭帯や半月板の損傷の有無を拡大視野で確認する事ができます。
LCPプレート
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