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門脈シャントについて

ペットの肝疾患として見逃せない

門脈体循環シャント

監修:鳥巣至道(宮崎大学農学部附属動物病院)、鷲巣誠(日本獣医生命科学大学 動物医療センター)

門脈シャントの症例

門脈体循環シャントとは

(PSS)とは、肝臓に流入するはずの門脈血流が肝臓を迂回して全身循環に流れ込む血管奇形の病気です。門脈は、消化管から吸収した栄養分や腸で発生した有害物質を肝臓に運ぶための血管です(図A)。門脈血中には肝臓や全身に必要な栄養分や全身に悪影響を及ぼす有害物質が非常に多く含まれています。PSSではこの門脈血が肝臓をバイパスして全身に流れることによって、肝臓が成長せず、また有害物質を無毒化することが出来ないため、有毒物質が全身に流れてしまいます(図B)。PSSの症状が重篤な場合には、肝性脳症という神経症状を示し死に至ることもあります。

PSSの多くは先天性であり、遺伝が関与していると考えられています。PSSは以前、非常に珍しい疾患として考えられていましたが、日本獣医生命科学大学でのPSSの割合は全診療頭数の2.3%であり、手術件数に至っては全手術件数の7.5%となり年々増加する傾向にあります。

門脈体循環シャント

胆汁酸とは?

胆汁酸とは、肝臓でコレステロールから生成され胆嚢から消化管に排泄され脂肪の消化吸収を助ける胆汁の主成分で、消化管から門脈を経て再吸収され、肝臓で再利用される腸肝循環を行っている物質です。健常な動物では、血液中の胆汁酸の濃度は25μmol/L以下と非常に微量ですが、重度な肝障害や門脈血流が大静脈に短絡すると血中の胆汁酸の濃度が異常に高値になります。

胆汁酸は肝臓に極めて特異性の高い物質です。肝臓の逸脱酵素や胆管酵素に異常が認められない場合でも、肝機能や門脈循環に異常がある時には必ず上昇するので、これらの疾患が示唆される症例においては非常に有用な検査となります。

 

門脈体循環シャント(PSS)になると・・・

PSSの一般的臨床症状は、食欲不振、嘔吐、活動性の低下、多飲多尿そしてけいれん発作などがあります。先天性PSSの症例の多くは、兄弟犬と比較して体格が小さい、虚弱体質であることが多いですが、多くの症例で生後3ヶ月頃を過ぎてから、臨床症状が発現するため、ペットショップやブリーダーの時点で症状に気がつくのは困難な場合があります。早期に診断するためには、特殊な検査を行う必要があります。

 

診断

血液検査で血中の胆汁酸やアンモニアの濃度を測定することによって出来ます。

*確定診断は全身麻酔下による門脈造影が必要となります。

 

治療

外科的治療と内科的治療がありますが、内科的治療で症状は改善しますが完治することはありません。手術でシャント血管を結紮することにより完治が望めるため、診断がつき次第できるだけ早期に手術を実施することをお薦めいたします。



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